どうもフユトです。
令和3年度における飲酒運転による交通事故件数は2198件、そのうち死亡事故件数は152件です。
どちらも前年度よりは減少していますが、本来は0件であるべきですよね。
皆さんはお酒を飲んでから何時間経ったら運転しても良いという認識ですか?
多くの方が7~8時間と答えるのではないでしょうか。
しかし、当たり前のことながらアルコール分解にかかる時間は飲んだ量によって変わります。
飲んだ量が少なければ早く分解されますし、たくさん飲めば分解にも時間がかかります。
また、年齢や体重によっても変わってきますし、男女でも違います。
後述しますが、
僕も初めて正しい計算方法を知ったときは「意外に長くかかるんだな。」と思ったことを覚えています。
自分ではお酒が抜けたと思い安全に運転できていたとしても、
警察に検査をされてアルコールが基準値よりも多く検出されれば逮捕されてしまいます。
今回はそんな事態を避けるために
アルコール分解にかかる時間の計算方法と男女差
と、おまけとして
お酒に強い弱いの判別方法
を紹介したいと思います。
アルコール分解時間の計算方法
アルコール分解時間の計算には
純アルコール量と純アルコール分解能力の2つが必要になる。
純アルコール量
純アルコール量=アルコール度数ではない。
純アルコール量の計算方法は、
純アルコール量(g)=飲酒量(mL)✖アルコール濃度(度数/100)×0.8(アルコール比重)
で求めることが出来ます。
例えば、缶ビール350mLでアルコール度数が5%の場合
350(mL)×(5/100)×0.8=14(g)となります。
純アルコール分解能力
純アルコール分解能力は体重によるところが大きい。
あくまで目安の数値となりますが、
1時間当たりの純アルコール分解能力(g/h)=体重(kg)✖0.1(g/h)
で求めることが出来ます。
つまり、体重60kgであれば60(kg)✖0.1(g/h)=6(g/h)となり、
1時間で6gの純アルコールを分解することが出来るという事です。
アルコール分解時間
つまり飲んだ量・度数・体重で決まる。
アルコール分解時間(h)=純アルコール量(g)/純アルコール分解能力(g/h)
で求めることが出来ます。
例えば体重60kgの人がビール350mL(アルコール5%)を飲んだ場合、
純アルコール量は350(mL)×(5/100)×0.8=14(g)
純アルコール分解能力は60(kg)✖0.1(g/h)=6(g/h)
となるため、
アルコール分解時間(h)=14(g)/6(g/h)=2.3(h)
となります。
case1:居酒屋
居酒屋でぼちぼち飲んだ場合の分解時間は?
体重60kgの男性が以下のようなパターンで飲酒した場合。
(日本酒1合:180mL・お猪口:30mL)
分解時間は5.5時間
飲み会などで男性であれば1軒目でこれくらいの量を飲む人は珍しくはないと思いますし、
仮に焼酎(20%)を100mLプラスで飲めば分解時間も+3.3時間され8時間を越えます。
1軒でこれですから、2軒目、3軒目と飲み歩けば分解時間は優に8時間を越えますよね。
case2:宅飲み(ストロング系)
近年人気のストロング系の分解時間は?
引用:サントリー
近年、安価で手に入り手軽に酔えるということで人気を博している一方で
危険視もされているストロング系チューハイ。
アルコール度数は9%です。
宅飲みで以下のような飲み方をした場合
分解時間は12時間
優に8時間を越えましたね。
先ほどの居酒屋のケースと飲んだ量では100mLほどしか差が無いにもかかわらず
分解時間には倍以上の差が生まれました。
また、飲む量をどちらも350mL缶にした場合でも
分解時間は8時間を超えた値となります。
ストロング系の危険性
ここで少し余談ですが、なぜストロング系は危険だと言われているのでしょうか?
アルコール度数が9%と聞くと、
日本酒やワインは10%以上あるし、そこまで高くない。
と考えるかもしれませんが、問題なのは飲むペースと飲む量です。
ストロング系チューハイ500mL(9%)に含まれる純アルコール量は36gです。
この純アルコール量36gを日本酒やワインで摂取する場合
- 日本酒(15%):300mL (x=36g/0.15×0.8)
- ワイン(12%):375mL (x=36g/0.12×0.8)
となります。
日本酒やワインを1人でこれだけの量を飲む人はあまり多くないでしょう。
しかし、ストロング系は大変飲みやすく1人で500mL飲むことも難しくありません。
睡眠中の分解能力
睡眠中は分解能力が下がります。
睡眠中は血液の循環が遅くなります。
その分、肝臓に運ばれるアルコールが減り、分解されずに残ります。
意図せず飲酒運転にならないための計算式
上記とは別に学会で定められた計算式があります。
アルコール・薬物の学会が定めた飲酒運転予防のガイドラインには
純アルコール量(g)/4(h)以上経過するまで運転してはいけないとされています。
このガイドラインに先ほどの飲酒量を当てはめると以下のようになります。
case1.1:居酒屋
居酒屋1軒で飲む量で8時間を超えてしまいましたね。
case2.1:宅飲み(ストロング系500mL)
case2.1.1:宅飲み(ストロング系350mL)
アルコール分解時間の男女差
アルコール分解時間に男女差がある理由を順を追って解説します。
アルコール分解能力が体重で決まる理由
アルコール処理能力が体重で決まる理由は肝臓にあります。
摂取したアルコールの大部分は肝臓で分解されます。
そして、肝臓の大きさは体重に比例します。
このことより、一般的には体格がいい人ほどアルコールを分解する能力が高いと言えます。
アルコール分解能力が男女で違う理由
体重により肝臓の大きさが違うという事は・・・?
先ほど、体格がいい人ほどアルコールを分解する能力が高いと言いました。
つまり多くの場合で、男性より女性の方が体重・体格が小さいので肝臓も小さく分解能力は低いです。
一般的に、女性のアルコール分解能力は男性の1/2~1/3程度言われており、
厚生労働省が推進する国民健康づくり運動「健康日本21(第二次)」によると
生活習慣病リスクを高める量の飲酒とは純アルコール量換算で1日当たり
男性:40g以上
女性:20g以上
と男女で倍の差があります。
また節度のある飲酒量は1日当たり純アルコール量20g程度となっています。
ビール350mLの純アルコール量が14gという事を考えると、
普段は飲みすぎている方が大半なのではないでしょうか。
お酒に強い弱いの判別法
日本人の44%はお酒に弱い遺伝子です。
ALDH2
ALDH2の遺伝子型でお酒に強い弱いが決まっています。
アルコールが肝臓に運ばれると「アセトアルデヒド」という物質になり、
この物質が頭痛や吐き気などの症状を引き起こします。
そして、この「アセトアルデヒド」を分解してくれるのが
ALDH2(アセトアルデヒド脱水素酵素2)です。
このALDH2の活性(働き)が強ければお酒に強く、弱ければお酒に弱くなります。
ALDH2の遺伝子型は3種類あり、
- NN型:ALDH2正常活性型遺伝子(お酒に強い)
- ND型:ALDH2低活性型遺伝子(多少は飲める)
- DD型:ALDH2不活性型遺伝子(お酒に弱い)
この遺伝子は血液型同様に両親から受け継ぐものなので、変化することはありません。
日本人の約40%がND型で約4%がDD型であると言われています。
判別方法
遺伝子検査・パッチテスト等で判別できます。
遺伝子検査
専用のキットがあります。
遺伝子検査するには専用のキットを注文し、口腔粘膜を採取して提出します。
綿棒で頬の内側を擦って採取し、ポストに投函し専門機関に送るという感じですね。
パッチテスト
自宅で判別できます。
消毒用アルコールを含ませた絆創膏を腕に10分間貼り、腕の色の変化を見て判別します。
NN型:変化なし
ND型:ピンク色
DD型:赤色
という判別方法です。
しかし、正直これで正確に3種類の遺伝子型をを判別するのは難しいと思います。
色に変化が無ければNN型
色に変化があればND型orDD型
という判別が限界だと思いますので、正確に知りたい方は遺伝子検査をオススメします。
まとめ
今回の記事はいかがだったでしょうか。
アルコールの分解時間を初めて知った方は驚いたのではないでしょうか。
お酒を飲むのは楽しいですが、1歩間違えれば自分や周りの人を傷付ける毒にもなりかねません。
今回紹介した記事が皆様の役に立てていたら幸いです。
コメント